宇都宮工場製造グループ 所属 注射剤製造 担当 宇都宮 勤務
2019年キャリア入社
生物系 専攻
入社の動機・経緯
製造技術の面で自分の成長につながる機会が多いと判断
学校で化学を学んだ後、更に進学して生命工学を専攻しました。最終的な研究の内容はラットの嗅覚遺伝子を組込んだ酵母のバイオセンサーの開発です。
愛知県の精密部品メーカーに就職し、工作機械などを用いて、医療機器、半導体製造装置などの精密部品を製造していました。
6年ほど勤務した後、転職を決断しました。学生時代の専攻から、医薬品分野に興味があり、転職するなら新しいことにチャンレンジしたかったこと、待遇、福利厚生、ワークライフバランスを含めて働く環境を変えたかったことが大きな理由です。
医薬品製造企業の中でも中外製薬工業は、バイオ医薬品、低分子医薬品、中分子医薬品など、多岐に渡る製品や治験薬を製造し、製造技術の面で、自分の成長につながる機会が多いと判断して志望しました。
現在の所属部署・役割
GMPルールの厳しさに驚き、研修やOJTで学ぶことからはじめる
所属は宇都宮工場の製造グループの一つで、ここでバイオ医薬品の製剤製造に携わっています。バイオ原液の培養・精製、製剤の製造、検査、包装など、グループごとに異なる工程を担当しています。入って驚いたのは、医薬品製造におけるGMP(Good Manufacturing Practice)ルールの厳しさ。これは医薬品業界以外から転職して来た人は誰もが感じることだと思います。
GMPでは実施した作業は記録書に残すことが決まっていますが、その書き方一つとっても、例えば「同上」を意味する「〃」は使えません。また、新設備を導入するときは「仕様確認」、「据付確認」、「運転確認」と、細かいステップごとに計画書/報告書の作成を実施しますが、一つのステップが完了するまで次のステップには進めない決まりです。まずこうしたルールを学ばなくては仕事になりません。会社もそのための時間を確保しています。eラーニングや外部講習を受け、OJTで徐々に基本的な部分から慣れていきました。
前職での経験も役立ちました。生産技術や品質管理も手がけ、機械図面の読解、加工技術の知識,統計分析やデータ分析の経験、スキルを応用することができました。
自分の業務・やりがい
トラブル回避のために、手順整備による標準化を推進
私は充填工程の工程リーダーを務めています。バイオ医薬品は液体なので、最終的には瓶などに充填する必要があります。製品としては異なる3種類を取り扱います。
これらは期間を分けて同じラインで製造します。一つの製品を一定期間製造したら、洗浄/滅菌し、今度は異なる製品を製造するというやりかたです。
この3つとも、バイアル(注射剤用ガラス瓶)に充填しますが、バイアルのサイズや表面処理が違い、またゴム栓の形状が異なるため、それに合わせて搬送ラインを型替えしなければなりません。
私の所属する製造グループでは、ヒューマンエラーによるトラブルを防ぐため、手順整備による標準化を改善活動として実施しています。
目指すのは、作業者の熟練度と関係なく、誰でも一定水準以上の作業ができるようにすること。それには感覚的なことを数値化、言語化し、手順として整えることが必要で、それが私のミッションとなっています。
これは実際に効果があって、安定稼働の指標ともなる生産稼働率が大幅に向上し、達成感を得ることができました。
生産稼働率向上の改善活動をCPMC EXPOで発表、プレゼンテーション賞を受賞
製造部門の使命は安定生産・安定供給であり、私の所属するグループもその実現を目指して日々の生産に携わっています。生産稼働率向上の改善活動はその表れの一つとも言えます。
2022年にはこの活動を、全社規模でさまざまな成果を公開する場である社内発表会「CPMC EXPO」に参加して発表しました。一緒に組んだ同じグループのメンバーの発表方法がおもしろかったこともあり、好評を得て、「プレゼンテーション賞」を受賞。ちょっと驚きましたが、大きな喜びとなりました。
生産性向上は一つの手段で実現するものではありません。部品(設備)を変える、手順で補うなど、さまざまな工夫を総動員して行います。それによりラインで慢性的に発生していた「チョコ停」(チョコっと停止)の削減にも取り組んでいます。今後もこうした努力を重ねていきたいと思っています。
展望とメッセージ
今後は製造だけでなく、品質保証、生産技術など、製造で培った知識を活かせる場でも仕事をしてみたいと思います。またバイオ医薬品以外の医薬品にも興味があります。どの分野にしても、現場を学ばなければ、通用しないと思うので、気負わず、のびのびと挑戦していきたいですね。
キャリア採用で入られる方は、他社を知っていることを活かせると思います。前職で異なる分野を経験して来た人も多く、異なる視点からの発想が製造トラブルの分析や改善につながります。私のように前職でメーカー勤務だった人間が当社に来た場合、GMPの厳密なルールに触れることで、それまでの知識や経験をより高いレベルで活かすことができるでしょう。
またロジカルな発想・思考も役立ちます。これは査察のときでも必要なので、当社全体で推進されています。成長したい人にとってはとても良い場所だと思います。
※担当・勤務先は取材時(2022年10月)