アイデア提案制度「Wing」 未来を私が創る

社員一人ひとりのアイデアが会社の未来を創る
当社では、社員一人ひとりのアイデアを尊重し、会社の成長に活かす取り組みとして、提案制度「Wing」を2023年に立上げました。この制度は、中外製薬工業の将来像実現に向けて、社員が自身のアイデアを直接経営陣に提案する仕組みです。
新技術の導入、組織風土醸成、人財育成、事業の多角化など様々な角度から課題を掘り下げ、社員自らが考え提案します。
この制度を通じて、当社の3つの強み(技術力、現場力、価値創造力)を更に高めるとともに、会社と社員の成長と変革を促進することを目指しています。


Wingの立上げとその想い 制度を通じて新たなアイデアと価値を生み出す

更なる発展のために誰でも提案できる制度を
当社の2030年将来像/ポーラスター※を立上げたのが、一つのきっかけです。
会社のビジョン・将来像の実現のためには、私たち社員一人ひとりの想いと会社のビジョンが重なり、そしてそれぞれが挑戦を楽しむことが大切だと思います。
ただその挑戦の行動を起こすのは勇気がいることですので、その挑戦を支える会社の仕組みも必要ではないかと感じていました。そこで、このWingという提案制度の導入を考えました。
社員一人ひとりが業務の中で気づくことや、日々多くの情報に触れる中で思い浮かんだアイデアは、宝の原石です。そのアイデアはそれぞれの担当業務の枠を超えたとしても社会に・患者さんへの貢献につながるものだとしたらどうにか実現したいですし、会社経営層もそれを応援したいはず。そこで、社員の想いと経営の想いをつなぐ場として、アイデアが浮かんだら誰でも経営に直接提案できる制度の導入を考えました。
この制度の導入是非や運用方法について、一つひとつ経営層と議論を重ねていき、2023年に制度の導入を実現しました。
※ポーラスター: | 当社の将来像を実現した姿を表現した指標 |
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提案への心理的なハードルを下げることで、多くの社員に楽しんでもらいたい
社員が胸の内に秘めている「こうしたい!」という想いを提案できる場を作りたい、という考えから、本制度立案に向けて声掛けを受けて参画しました。
私は開拓力を求められる営業本部から異動してきた経験を踏まえ、生産部門でも医薬品製造の厳格な基準を遵守することの大切さが求められる一方で、必要な手順を踏めば慣習も変えられること、個々人の創意工夫が受け入れられる会社であることを伝えたいと思っていました。
そのため、提案するための心理的なハードルを可能な限り下げ、多くの社員が「楽しそうだな」と感じてもらえるようにすることに注力しました。
提案制度の運用 提案を実行に繋げる2つの重要な取り組み


主体性を尊重しながらアイデアの質を高めてもらえる環境
私たち多くの社員が「何かしたいけど、どうすればいいかわからない」というモヤモヤした気持ちを抱えていることに気づきました。
そんな私たちの想いを大切にし、新しいアイデアを形にする文化を一緒に育んでいます。
そこで、2つの重要な取り組みが生まれました。
1つ目は『アイデアソン』です。これは3つの事業所が集まるブレインストーミングの場です。GMP※業務に携わる仲間たちも含め、私たち社員が自由に発想を膨らませ、同じ想いを持つ仲間を見つける機会となっています。
2つ目は『Pre-Wing』という活動です。ここでは、アイデアを持ち込んだ社員の話をWing事務局がじっくりと傾聴し、深掘りのための質問を投げかけます。
このプロセスで最も大切にしているのは、提案者の考えを深める手助けをすることです。「それが実現すると、どんな未来になりますか?」「誰のためにその未来を創ろうと思っていますか?」などといったオープンクエスチョンを通じて、提案者自身がアイデアの本質や目的を掘り下げられるように促していきます。
このアプローチによって、社員の主体性を尊重しながらアイデアの質を高める環境を整えています。Pre-Wingは、提案者が自らの発想を深化させ、より実現可能で価値あるものへと昇華させていく、創造的な対話の場なのです。
この2つの活動を通じて、社員のアイデアを会社の新しい取り組みに変える土壌が育ってきました。また、場所や組織は違っても同じ想いを持った仲間が社内にたくさんいることを知る機会にもなっています。
制度づくりで最も大切にしたのは、私たち社員の主体性を尊重しながら、どうやって会社にとって価値のあるアイデアに磨き上げていくかというバランスです。これからも、みんなで知恵を出し合いながら、よりよい制度に育てていきたいと思います。
※GMP: | 医薬品および医薬部外品の製造管理および品質管理の基準(Good Manufacturing Practice) |
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提案制度の実績 提案の半数が採用される高い承認率で、社員の改善活動を推進


否定されることなく実現へ向けた建設的フィードバックが得られる
Wingの実績を見ると、承認率は約50%となっています。提案の半数が採用されるという顕著な成果を示しており、提案者と経営層の双方が真剣に取り組んでいることがわかります。
審査会は、建設的な議論の場でありながら、終始前向きな雰囲気で進行します。提案者は経営層との対話を通じて新たな視点を学び、自身の提案をより良いものにしようと努力します。
一方、経営層は提案をどうやったら実現できるかという観点から、具体的で実践的なアドバイスを行います。
特徴的なのは、たとえ実現性に疑問が残る提案であっても、前向きで協力的なアドバイスが行われることです。「提案者の思いをどうにか叶えよう、実現させよう」という経営層の想いが感じられ、それが審査会全体の雰囲気を形作っています。
この前向きで協力的な風土は、Wingに限らず会社全体に浸透しています。例えば、日常の業務においても、新入社員のアイデアが職場に取り入れられるなど、役職に関わらず互いを尊重し合う文化が根付いています。
社員の間で「Wing」という言葉が日常的に使われるようになり、この提案制度が社員の改善活動を推進する重要なきっかけとなっていることを実感しています。
提案事例 医薬品製造工場におけるドローン・センシング技術活用

「ドローンで工場点検を効率化できないか」
—— この素朴な疑問から、私たちのプロジェクトは始まりました。
世の中でドローンが普及する中、私たちの工場でも活用できるのではないかと考えました。特に革新的なアイデアではありませんが、日々の業務改善につながる可能性を感じたのです。
まず、施設管理部門に相談し、具体的なニーズを探ったところ、高所点検や広範囲の巡回など、活用の可能性が見えてきました。
仲間づくりは、日常的なコミュニケーションから始まりました。「こんなことができたらいいな」と軽く話してみることで、徐々に賛同者が増えていきました。
現在、このアイデアは社内提案制度Wingを通じて提案し、検討を進めています。まだ実現には至っていませんが、各部門からの支援や専門知識を得られる機会が増え、プロジェクトの可能性が広がっています。
新しいアイデアを自由に共有し、挑戦できる環境と、失敗を恐れず一歩踏み出せる雰囲気、このような風土が、私たちの未来を創る原動力になっています。

アイデア提案制度「Wing」のめざす姿
Wingが生み出す相乗効果で、会社も個人も進化し続けられる組織
私たちは社員の想い・大切なものを守りながらも「挑戦」と「創造」の精神を大切にし、社員と会社が共に進化し続ける組織づくりを目指しています。
そしてWingは、社員一人ひとりが会社の未来を創る主役となれる制度です。
小さなアイデアが、やがて大きな革新へと繋がっていく。そんな可能性に満ちた未来を、私たちは共に創造していきます。

※紹介内容等は取材時(2024年10月)のものとなります。