バイオ医薬品原薬 担当 生産技術研究部(MSAT) 所属 浮間勤務 2014年新卒入社 生物系 専攻

生産技術研究部(MSAT) 所属 バイオ医薬品原薬 担当 浮間 勤務

2014年新卒入社
生物系 専攻

入社の動機・経緯

身につけた培養技術を活かし、製薬メーカーで力を発揮したいと思いました

学生時代は生物学系の学部で、微生物の培養研究をしていました。就職期に入り、製薬分野に関心を持った大きな理由は祖母の大病です。自分が隣家に住む祖母の世話をすることも多く、医薬のありがたさ、健康の重要性を痛感したことが大きかったと思います。
医薬品製造会社を志望したのは、ものづくりをし、自分が作った医薬品を直接、患者さんが服用し、役立つことに価値を感じたからです。
入社してからは、浮間工場の製造グループに配属され、バイオ原薬製造の培養工程に携わりました。4年ほど経ってからは、製造だけではなく、査察・監査への対応、製法技術移転などを担当。2021年からは、新設された生産技術研究部(MSAT)に所属して、業務の幅を広げながら、更に高い水準の業務を担当しています。

現在の所属部署・役割

バイオ医薬品原薬

安心安全な医薬品を世界の患者さんに届けるため、実生産規模の製法を開発する生産技術の専門家です

生産技術研究部は、中外製薬が開発した新薬とその製造プロセスを中外製薬工業で実生産規模の生産ができるよう立上げを行う(技術移転)際、また中外製薬工業で商用生産されている医薬品を外部のCMO(Contract Manufacturing Organization/医薬品の製造を受託する企業)に技術移転する際に、中心的な役割を担い、技術指導、支援、移転後の管理などを行います。
工場ごとにMSATのメンバーがいますが、部署全体で三工場の状況を把握し、情報交換をしています。また、CMOへの技術移転・支援活動の中で得られた情報・知識も踏まえ、更なる改善活動につなげています。
医薬品の製造に当たっては、各国の規制当局であるPMDA(医薬品医療機器総合機構)、FDA(アメリカ食品医薬品局)、EMA(欧州医薬品庁)などのグローバル査察を受けます。これら査察に対応するのも重要な仕事です。規制に準じ、安全性を確保していること、その証拠となるデータや記録文書で患者さんに安心して使っていただける医薬品製造を行っていることを査察の中でチェックを受けます。それらのデータは取得するだけでなく、取得したデータを解析し更なる品質向上や生産性向上活動につなげることも私たちMSATの重要なミッションです。実生産規模での試験を設計、製造グループと協働で実施し、これらの活動を推進しています。

自分の業務・やりがい

生産技術研究部(MSAT) 所属 浮間勤務 2014年新卒入社 生物系 専攻

日々高まる品質要求レベルに対応する大変さがあります

私の業務の一つとして当局査察や監査の対応をしていますが、その活動の中でグローバルの品質要求レベルの高まりを感じています。その一つの例に、データ・インテグリティ(電子データの完全性と正確性が客観的に担保されていること)が挙げられます。
これらはガイドラインに記載されているものを守るだけではなく、品質要求の変化・高まりの背景にある患者さんの医薬品製造に対する期待を理解することが重要と考えています。
実際の査察を受けるシーンにおいては、担当者ごとの専門性に応じて重点対応するトピックを決めています。例えば私が関わったある査察では、設備洗浄、複数製品製造施設の管理、サイトツアー(工場で実際に設備・機器を査察官に見せながら説明すること)などを任されました。
このほかにも、製法説明、製造記録書のレビューなどさまざまなトピックがあります。
査察という限られた期間の中で、私たちの医薬品製造やその品質保証の取り組みが、患者さんに安心して使っていただけるものであるかを説明・証明すること、またそれを海外の査察官にもしっかりと伝えるために、どこまで詳細な資料を準備しておくかには頭を悩ませます。

新薬が患者さんに使われ、状況が好転したときは本当にうれしく感じます

そうした苦労があるだけに、査察や監査のとき、担当トピックで査察官に私たちの管理状況がしっかり伝わり、最終的に新薬が承認されたときの喜びは大きいですね。また、自分が技術移転を担当し、原材料の確保、実生産設備へのプロセスフィット(中外製薬で開発した製法を実生産設備で製造できるように製造パラメータなどを合わせ込みすること)、製造記録書の準備などを行った治験薬が、初めて工場で無事に製造されたときは達成感があります。
更に、新薬が患者さんに実際に使われて、寛解した、QOL(Quality of life)が向上したなどと聞くと本当にうれしく感じます。患者さんへ少しでも早く新薬を届けられるよう、日々の業務の改善を図っています。
このほか、MSATとして製造時にトラブルが起きた場合の対応もしています。トラブルの原因が製法に由来する場合は製法改善といった再発防止にも取り組みます。私は「インベスティゲーター」という社内資格を持っています。
これはトラブルの原因究明をするためのスキルを有しているという社内資格で、トラブルが発生すると、課題解決チームに入り、製造や関係部署のメンバーと一緒に原因調査や再発防止策の立案を推進します。

展望とメッセージ

CMOへの技術移転や設備導入にも関わっていきたいと思います

当社の組織としての魅力は人が温かく、何事にも一生懸命取り組む人が多いこと。入社三年目の頃、セル・バンク(培養工程の出発物質となる細胞)の保管・運搬に用いる液体窒素の扱いを誤り、一定量のセル・バンクを廃棄するという失敗をしたことがあります。とても落ち込みましたが、当時の上司や先輩に励まされ、やり直しの製造も任されて、つらい時期を乗り越えることができました。
このとき、「これは誰がやっても失敗したこと。問題があったのは手順だから」と言われたことを覚えています。今思えばこれは管理の本質だったかもしれません。
これ以来、自分の失敗や気付きを他者へも共有することで誰がやっても間違えない手順を作ることを強く意識するようになりました。こうしたことを教わって来た結果、今日の自分があるのだと思います。
これからの展望としてはまず、今担当している製品を将来、CMOに技術移転する仕事を経験したいです。これにより中外製薬工業で得られた知見を広めること、またCMOの方たちと切磋琢磨しながら更に生産技術スキルを磨いていくことで、製薬業界全体の発展につながればと考えています。また、浮間工場で新たに建設しているバイオ原薬製造棟の管理に携わってみたいと思います。新しいバイオ原薬製造棟は開発フェーズの早い治験薬を製造する建屋であり、ここで製造される新薬を待っている患者さんのため、業務改善を図り、ゆくゆくは世界水準の開発スピードと生産性を実現したいと考えています。
当社には楽しくやりがいのある仕事がたくさんあります。新しく入社する方々とも一緒に楽しく仕事をしていきたいですね。

※担当・勤務先は取材時(2022年10月)

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